先進技術センター Advanced Technology Center

i-Constructionへの対応

ICTを活用した調査(小型UAV)

 小型UAVは、オートパイロットモードを備えており、航空写真撮影を自動で行うことができます。また、撮影した写真よりオルソ画像や3次元DSMを作成することができます。

  Mavic 2 Pro INSPIRE 2 Phantom 4 RTK
サイズ 354mm 605㎜ 350㎜
重量 907g 3440g 1391g
飛行時間 約31分 約23分 約30分
搭載機器 4Kカメラ 4Kカメラ 4Kカメラ
機体
【適用分野】ICTを活用した調査(小型UAV)
分野 内容
防災 災害時の被害状況の把握、崩壊等の危険箇所(法面・堤防など)の俯瞰的状況把握
調査 地形・構造物・植生等の変状調査
点検 構造物等の劣化状況の点検調査
環境 環境調査とアセスメント
監視 工事区間の施工進捗状況の監視
その他 広報用斜め写真等の撮影
特徴
  • 撮影ポイントの設定により、自動で自律飛行空撮が可能
  • 低速飛行と空中静止(ホバリング)が可能
  • 撮影コースの再現が可能(同一地点撮影)
  • 有人機撮影では実現できない低空での高分解能撮影が可能
  • 耐風性能が高い (10m/s以内。ただし雨天・霧中の撮影不可)
活用事例
  • 災害後の状況調査(2018年7月、広島)
  • UAVレーザ計測結果+垂直写真⇒3次元地形モデル砂防堰堤予備設計に利用(2018年7月、広島)
  • 現地状況のリアルタイム画像転送(2018年11月、広島)
  • UAVの全自動航行・静止画撮影⇒3次元地形モデル砂防堰堤 施設点検(2020年1月、熊野)

レーザー等による3次元計測

 地上型3Dレーザースキャナやハンドスキャナ、UAVレーザー、ナローマルチビーム測深器等を活用することにより、様々な場所(山地、河川、海域等)の地形や、屋内外の種々の構造物等の3次元情報を取得することができます。

【適用分野】レーザー等による3次元計測
分野 内容
防災 災害時の被害状況の把握、崩壊等の危険箇所の状況把握
調査 地形・構造物・植生等の変状調査
点検 構造物等の図化、劣化状況の点検調査
環境 環境調査とアセスメント
監視 工事区間の施工進捗状況の監視
その他 広報用写真の撮影、プレゼン用3次元モデルの作成等

地上型3Dレーザースキャナ・3D-CADへ変換

  • 現地の状況写真
    地上型3Dレーザスキャナによる点群データの取得
  • 点群データ
    3次元トレース、モデル化
  • 護岸の3Dモデル

UAV写真+地上レーザ+SLAM+MMS

  • 各種機器の3次元計測結果合成
  • 計測結果・カラー点群(地上レーザー)
  • MMS計測状況
  • SLAM+ボート計測状況

計測データからの復元図(平面図)

 UAVの写真測量、マルチビーム測深機を組み合わせることで、地上から海底までの地形を取得することが可能です。また、小型化されたグリーンレーザを用いることで河川等の地形を取得することが可能です。

UAVレーザー

  • 道路および河川の3次元モデル

マルチビーム測深器

  • マルチビーム岩礁帯(鯨瞰図)
  • 並型漁礁ブロック(鯨瞰図)

UAV写真+マルチビーム測深器+地上レーザ

 潮の干満に合わせて各種機器で計測、計測したデータを合成することで、消波ブロックの欠損や流出の確認が可能です。

  • UAVで撮影した写真
  • 地上レーザ(船体に取付)
  • UAV+マルチビーム+地上レーザ

UAV搭載型グリーンレーザー

 UAV搭載型グリーンレーザ計測により、水中の河床部の地形取得が可能です。

  • 横断方向の計測
  • 使用した機体
  • 搭載した機器
  • 横断図
  • 縦断方向の計測
  • 縦断図

3次元設計(BIM/CIM)

 中電技術コンサルタント(株)では、取得した3次元計測情報を基に、BIM(Building InformationModeling)/CIM(Construction Information Modeling/ Management)による3次元設計や既存構造物の3次元化を実施し、設計時の合意形成や維持管理の効率化、施工との連携等に活用しています。

トンネル分野

 通常2次元で実施されている道路設計において、3次元モデルを作成し、設計情報の可視化、施工計画検討など計画・設計・施工の各フェーズでの合意形成や判断の迅速化に活用しています。

  • 3次元モデル全景
  • 道路土工サーフェスモデル
  • 施工用仮桟橋等の関連工事の影響検討
  • 2次元図面による3次元モデル照査

ダム分野

 既設ダムの3次元化により維持管理を支援します。

  • 日常点検、定期検査、総合点検時の変状図作成等に活用できます。
  • 竣工図や地質図を基に3次元モデルを作成し、平面図や横断図等に展開できます。
  • 堤体内の監査廊や導水管等の位置関係や変状等が3次元的に把握できます。
  • ダム構造を分かり易くモデル化し、ダムの経験が少ない職員のフォローをすることができます。
ダムの3次元モデル
  • J2断面図
  • 監査廊および埋設管位置図

砂防分野

 小型UAVを用いた航空写真測量やレーザー測量成果から取得した3次元地形データを活用し、砂防堰堤の整備量算出や、砂防堰堤の3次元設計、景観シミュレーション等、設計の効率化を図っています。
 また、作成した3次元設計の成果より鳥瞰図や施工ステップ図を作成することで、合意形成等に活用することが可能です。

  • 砂防堰堤のCIM統合モデル
  • 砂防堰堤の鳥瞰図(斜め写真と3次元モデルを合成)

建築分野

 BIM3次元モデルとしての最大の特徴である“見える化”を生かし、意思疎通の手法として設計段階での建物計画の相互確認を目的に実施しています。
 2次元の図面では実際にどのような建物が建つのか人によって理解度に違いが発生しますが、これにより、発注者やエンドユーザーとなる地域住民との設計図面に描かれたイメージ共有が容易となり、より良い建物となるための様々な検証が行われることで、手戻りも少なく早期での合意形成が可能です。

コミュニティセンター(公民館)の3次元モデルによる設計検証

設備分野

 既設構造物内の細かな設備の計測や、近接して計測することが難しい危険な場所(充電部等)などにおいて、3次元レーザー計測を用いたモデリングを実施することにより、仮想現実空間内での新規設備の設計や配置シミュレーションが可能となります。
 この技術を用いることで、変電設備等でも停電せずに計測することができ、停電時間や計測漏れを大幅に削減することが可能となりました。
 また、従来では計測が困難だった曲線部の3次元形状なども正確に再現できるため、より精度の高い現状把握が可能となります。

電力設備の点群データのモデリング

衛星データによるモニタリング

 人工衛星に搭載されたレーダ(SAR)を利用して地表の変動を広範囲で面的に把握し、従来の計測を補う変動監視が可能になります。人工衛星で継続的に観測されているデータを用いて、地盤や人工構造物の経時変動をmm単位の精度でモニタリングが可能となり、点検・補修の優先順位づけ等に利用できます。

特徴 内容
広範囲 数10km四方の範囲を一度に、面的な観測が可能
平均的挙動 15m×15m程度を1つの評価単位(ピクセル)として、平均的な変動をmm単位で評価
気象影響なし マイクロ波は雲を通過するため天候に左右されない。また、夜間も観測可能
現場設備なし 現場設備不要で、民地内の計測も可能
継続観察 過去からのデータ蓄積を利用して、過去からの継続的な変動を評価可能

大規模地すべり

 トルコ西部のババダ―地区では、大規模地すべりにより2000人以上が移転しています。この地すべりについて、衛星データを用いて時系列解析を行い、変動を評価しました。この結果、地すべり範囲を精度良く抽出でき、変形量もこれまでの現地観測結果と良い対応が得られました。

  • 衛星データ:Sentinel-1A(ESA、Cバンド)
  • 期間:2017年12月~2019年12月(2年間)
  • 取得データ:57シーン(約2週間に1回)
  • 評価手法:時系列SAR解析(SBAS)
  • ババダー地区の地すべり
  • 時系列SAR解析による年平均変動量
  • 地すべり地点の変位の経時変化

出典:H. Kumsar et al. (2016): An integrated geomechanical investigation, multi-parameter monitoring and analyses of Babadağ-Gündoğdu Creep-like Landslide, Rock Mech. Rock Eng., 49.

斜面モニタリング

変動回数による変状箇所の抽出と現地状況の確認(ALOS-2、2014-2019、15シーン)

出典:国土地理院WEBサイト(https://maps.gsi.go.jp)をもとに中電技術コンサルタント株式会社作成
データソース:Landsat8画像(GSI,TSIC,GEO Grid/AIST),Landsat8画像(courtesy of the U.S. Geological Survey),海底地形(GEBCO)