私は河川砂防部の計画グループに所属しています。河川に関する調査、計画、維持管理等に関する業務を実施しており、身近なものでいうと、洪水浸水想定区域図の作成や、氾濫危険水位等の基準水位に関する検討に携わってきました。近年では、毎年のように全国各地で河川災害が発生しています。人命にかかわる仕事であるため責任は大きいですが、使命感を持って日々の業務に取り組んでいます。
計画の仕事と聞いて、ピンとくる人は少ないかと思います。仕様(発注者の要求)も大まかなものが多く、また正解もありません。前提となる条件を整理し、河川工学等の基礎知識をベースに、発注者の思いを踏まえた最適案を提案する必要があります。正解がない分自由度は高いですが、その中からいかに発注者の思いに合致する提案ができるかが、ポイントです。それこそが計画の仕事の醍醐味でもあります。
近年の河川災害に目を向けると、気候変動の影響と思われる想定を上回る出水が頻発しています。こうした現象を受け、気候変動に適応した治水計画への転換や、流域全体のあらゆる関係者が協働して水害を軽減させる「流域治水」という新たな視点も必要となってきています。これまでの河川計画の考え方に囚われ過ぎず、広い視野を持って最適な提案ができるような技術者を目指していきたいと思っています。
ひとつの正解がない中で発注者の思いに合致する最適案を探し出すことが河川計画の醍醐味です。
