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日本川紀行

日本川紀行(水内川遡上行)

水内川遡上(1997年6月~7月)

 水内川は佐伯郡吉和村の“もみのき森林公園”付近に源を発し、途中湯来温泉を貫流し、湯来町大前地区で太田川に合流する支川で、広島近辺では名だたる清流である。太田川自体、大河川としては比較的水質の良い川であるが、水内川合流点付近に立つと太田川の水との境界がはっきり見え、この川の水の透明度の高さが良く判る。またこの川は、源流部近くの自然がよ〈残り、“広島の奥入瀬渓谷”とも称せられている。また、川沿いを国道433号及び488号が走り、道路改良に際して当社も多くかかわてきた所でもある。

 我々はこの川を2回に分けて遡上した。

大前から湯来温泉へ(1997年6月21日)

写真:水内川遡上出発…JR水内駅…

 太田川遡上行時にも紹介したが、大前地区では現在、国道433号の橋梁架替計画が進行中で、道路改良及び橋梁を道路・橋梁部が、架橋に伴う河川への影響を水理模型実験により水工部が、各々検討中である。今回の集合はJR可部線水内駅とし、直ぐ近くの中国電力津伏堰の左岸に建設省により新たに設置された、舟通し型デニール魚道の見学からスタートした。メンバーは、常連の水工のベテランを中心に17人と減ったが、菅夫人や寮生を中心とした新入職員グループ、協力会社であるテラファームから社長以下3名の新たな参加があり、初夏の日射しを受けての遡上となった。

 太田川への合流点の少し上流に、間の平(発)の水内川取水堰があり、その導水路トンネル上を通る国道433号の下五原トンネルの計画・設計では、掘削計画の立案に道路・橋梁部がかつて苦心した所である。

 伏谷川が合流する湯来町役場前から、国道は488号となる。河川分野ではCECはこの川では多くの仕事はしていないが、河川沿いに走るこの国道改良では数多くの計画・設計を手掛け、既に作品となっているものも多い。また、伏谷川合流点より水内川を少し上った場所に、維持管理面で課題のある河川プールがあり、幸いなことに当社の作品ではないが、良い研修材料となった。

 今回の終点は湯来温泉で、かつて温泉付近の道路改良に伴う自然を残した河川改修を計画したが、未だ実現には至っていない。季節は丁度ホタルの時期で、夕方には沢山のホタルが飛ぶとの話であったが、定期バスの便数は限られておりそうゆっくりともいかず、初夏の日射しで渇いた喉を缶ビールで潤し、汗で汚れた身体を温泉で流して、バスで分水嶺を越えて八幡川沿いに五日市方面へ下り帰途についた。

湯来温泉から“もみのき森林公園”へ(1997年7月19日)

 小瀬川及び八幡川同様に、水内川も太田川のような源流碑めいたものは無い。このため、地図上で川が消える“もみのき森林公園”を源流と定め、東山渓谷と呼ばれる川沿いの国道488号を、前回メンバーを中心に、河川計画の高本・今井や水工の樋口、地質の山口、都市の児玉らが加わり総勢20人で湯来温泉をスタートした。 かつての太田川遡上行開始時から見るとメンバーはかなり若手に変わったが、若い人の増加は企画する側とすれば嬉しい。

写真:ここも広島なんだなあ…東山渓谷…

 今回のコースは、真に自然を楽しむ場所であり、工事中の国道488号日入谷橋、志井ダム計画、もみのき森林公園の一部、等を除いて現時点で我々の成果としての研修材料は少ない。河川沿いを走る国道488号は、昔ながらのいわば山岳道路であり、これを遊歩道として残した別ルートでの改良計画・設計の多くをCECが手掛け、現在一部が工事中である。水内川は、渓谷を抜け改良の済んだ“もみのき森林公園”に至る道に出ると風景が一変するが、湯来町役場~温泉付近の水路と化した河川整備と併わせ、「開発・改良と環境保全」といった土木技術者の原点を考えさせられるコースでもある。

 夏の盛りであり、昼食時には川辺で水遊びとしゃれ込んだが、水は身を切るように冷たくあくまでも澄んでいた。

 今回は夏の遡上であるが、春夏秋冬と歩いてみたいと思わせる魅力が、広島市近郊のこんな所に未だ残っていることを改めて知らされた。このコースの到達点の“もみのき森林公園”には整備された自然があり、その手前にはそのままで残したい自然が溢れている。

(文中敬称略、次章土石流危険渓流遡上行へ
(組織名称、所属部署は当時のもの)